君ありて幸福 【完】



「お前は会社の為に尽くさなければならない。なのに、だ」

「⋯⋯」

「せっかく纏まった婚約の話を白紙にしてしまったんだぞ」

「⋯⋯」

「相手方は詳しい理由は言わなかったが⋯⋯、いきなり白紙にするなんて急な⋯、っお前は一体何をしたんだ!?」




ドン、と拳でテーブルを叩いた父に恐怖は感じなかった。


ただただ、悲しくて⋯腹が立った。




「どうしてあたしが何かしたって思うの」

「お前と面識があるからだ。話によれば親しくしてもらっていたじゃないか」

「面識⋯?」




父の言葉に頭にはてなマークを浮かべる。

そしてその瞬間、最悪な可能性が過ぎった。




婚約。破棄。あたしが親しくしてもらっている男性。


そしてこのタイミング⋯⋯。



この、タイミング────────。