君ありて幸福 【完】



小さい頃から仕事人間の父。

お母さんが家を出てからはそれまで以上に仕事に打ち込む父に寂しいとは言えなかった。


でもニュースや新聞で目にしたり耳に聞く父の会社の名前にお父さんのお仕事はとても大変だけどとても誇れるんだって子どもながらに必死に言い聞かせていた。




お父さんはあたしの為に頑張っているんだって─────。





その幻想が崩れてからだって、どこかで父の事を誇りに思っていた。


寂しさと認められたいという思いと誇りと。


だからお父さんに褒められたくて勉強だって頑張った。
すごくすごく頑張った。


ブレスレットを貰った時は初めて褒めてもらえた様でとても嬉しかったの。


言葉は少なくても、思い出が少なくても、家族の絆が脆くても。



どこかでお父さんはあたしのお父さんだと、“父親”だと“家族”だと思っていたの。





それなのに─────。