婚約というまだ高校生のあたしには遠い言葉。 だけどした覚えもないその言葉は昨日までずっと頭の中を巡っていたそのせいか案外すんなりと理解出来て。 でもお父さんの言っている事は理解出来ない。 「婚約って⋯なに⋯」 さっきも言った通り婚約なんて聞いてない。 そんな話があること自体知らなかった。 あまりの突然の出来事に目を大きく見開くあたしにお父さんは不気味なくらい冷静な表情を保っている。 「言った通りだ。お前には婚約者がいる」 あたしの事なんて一つも考えていないその口振りに頭に血が登った。