「座れ」
テレビもついていない、時計の秒針の音だけが響くリビングでお父さんの声はやけに大きく聞こえる。
それが妙に緊張感を煽り、ぎこちなく、お父さんと向かい合わせになる様にソファーへと腰を下ろした。
腰を下ろしたあたしをお父さんはシュル、とネクタイを片手で緩めながら真っ直ぐに見つめる。
そのあたしを射抜くような視線が怖かった。
「なあ、」
少しの間を空けて口を開いたお父さんの声はここ最近で一番、低かった。
そしてあたしを真っ直ぐ見つめたまま、
「お前は一体何をしてくれたんだ?」
激しい怒りと呆れと、落胆と軽蔑を含んだ視線をあたしに向けた。



