「で!今日はもちろんTrust行くよね?」
放課後になり帰り支度をするあたしにあさみが駆け寄ってきた。
何だかあさみの目がキラキラしている気がする⋯。
「うん、行くよ」
「私も今日は行くから、ふふ」
「なんでそんなに楽しそうなの」
「人の恋って見てて楽しいのよ」
「なにそれ⋯」
となんやかんや話しながら支度を整え終えて教室を出ようとした時、制服のポケットに入れていたスマホが振動した。
着信の様ではなく短い時間で振動が止まったからメールだと判断したあたしはポケットからスマホを取り出して差出人を見た。
「⋯お父さん⋯?」
差出人は珍しく父親で、その珍しさから思わず足を止めてしまった。
「⋯雪乃?」
それに気づいたあさみも足を止める。
「何、どうかした?」
「んー、メールが来てて⋯お父さんからなんだけど」
そう言いながら届いたメールを開いて見てみれば、
『十九時。自宅』
たったそれだけが送られてきていた。



