千鶴さんが婚約を承諾しないって知れたのは良かったけど、だけどズキズキと心が痛む。
決められた運命を受け入れようとしていた千鶴さん。
お兄さんの話をする千鶴さんの表情はとても悲しそうで。
「話してくれて、ありがとうございます」
ここまで来たら聞いたいこときいちゃえなんて思っていたけど、それが恥ずかしくなるくらい千鶴さんの深いところに触れられた様でそんな言葉が零れた。
切ないけど、温かさもある。
心が痛むけど、優しくもなる。
昴さんやあさみの言う通りちゃんと話を聞いて良かったと思ったんだ。
「そろそろ帰るか」
小さく微笑んだ千鶴さんはそう言ってバイクが止めてある方へと足を進めた。
もう一度だけ頭上の煌めく星空を見上げてからあたしも後を追った。