君ありて幸福 【完】



「この前適当に走ってたら偶然この場所を見つけたんだ」

「そうなんですか?」

「見つけた時、雪乃に見せたいと思って」

「っ」

「だから連れて来た」



空を見上げながらそう言った千鶴さんに一気に鼓動が加速した。





「そう、なんですね⋯。連れて来てもらえて嬉しいです」



動揺を悟られたくなくて出来るだけ落ち着いた風を装ってみたけど意味はなかったかもしれない。


最初声が裏返ってしまったし⋯。


だけどそれも無理はないと思う。



千鶴さんがこの場所に来た時あたしを思い出してくれたんだから。

そしてここに連れて来たいと思ってくれたんだから。


千鶴さんの中にほんの少しでもあたしがいるみたいで嬉しい。






「前に星の話しただろ?⋯まあここも田舎とかに比べたら全然なんだろうけどさ」




千鶴さんの低くてだけどとこか甘さを含んだ声が耳に心地よく響く。



前に星の話をした事があった。




“一面の星空って一度は見てみたいなとは思います”




あの時のあたしの言葉を覚えていてくれたんだ⋯。


ああ、何だか胸の辺りがぎゅっと痛くなった。
目頭が熱くなった。



千鶴さんのそういう優しさに触れる度、温かさを感じる度、好きって気持ちが大きくなっていく。





「あたしにとったらこの星空が一番綺麗です」

「⋯そうか」

「はい」



本当に心から、純粋にそう思ったんだ。