目の前にある千鶴さんの大きなバイク。
取り敢えずどうにか自力で乗ってみようとシートの部分に手を掛けて跨ろうとしてみるもののなんせ千鶴さんのバイクは大きい。
あたしだって背が低いわけじゃないけど自分で跨るには少し難しくて中途半端に足を上げて四苦八苦していると、
「っきゃ⋯、」
フワッとした浮遊感を感じ、気づいた時にはバイクの後ろに座っていた。
千鶴さんが持ち上げて乗せてくれたんだ。
「ありがとうございます⋯」
重くなかったかな?とか恥ずかしい気持ちとドキドキが一気に襲ってくる。
「これ被っとけ」
そう言われて渡されたヘルメット。
すっぽりと全体を覆ってくれるこれは安全だけじゃなくこの赤くなった顔を隠してくれるから助かる。
「ちゃんと掴まっとけ」
「あ⋯じゃあ、失礼します⋯」
ドキドキドキドキしながらちょこんと千鶴さんの服を掴む。
「お前ふざけてんのか」
「!そんなことないですっ!」
「そんなちょこっと掴んだくらいなら即振り落とされるぞ」
「!」
あたしだってこんなんじゃ振り落とされることくらい想像はつく。
だけどこれ以上掴めと言われても!
緊張して出来ない。
恥ずかしくて出来ない。
「~っ、どうすれば⋯、良いでしょうか⋯」
「ほら」
その瞬間、グイッと引っ張られた両腕が千鶴さんのお腹へと回された。



