君ありて幸福 【完】



早く欠片を拾わなきゃ···。


そう思いながらしゃがみこもうとした時、ふと。


本当に何となく、無意識に、千鶴さんのいる二階席の方を見上げた。





「···っ!」




驚く事に千鶴さんもあたしの方を見ていた。




出会って四日目。


初めて彼と目が合った。


初めて彼がその綺麗な黒い瞳にあたしを捉えた。