話の途中から俯き出したからあさみの表情は分からず、俯きながらあさみの言葉を待っていたがあさみが言葉を発する事はなく、怖くなったあたしはカフェのテーブルの下でギュッと拳を握った。
「まずは顔を上げて」
そんなあたしの耳に届いたあさみの声。
その声はどこか優しさを含んでいて言葉の通りに顔をゆっくりと上げた。
「あたしはさ、正直浮気とか略奪とかマジで許せないタイプなんだ」
「っ!」
あさみの言葉にまた顔が俯く。
「ちゃんと聞いて雪乃」
それでもあさみが優しい声でそう言うからちゃんと話を聞こうと顔を上げる。
「だけど、今回の雪乃の場合はそれとは事情が違うじゃん」
「っ」
「浮気とか略奪とかそういうんじゃないじゃん。千鶴さんの婚約者の話だって詳しい事、確かな事はわからない。だからこそちゃんと話を聞くべきなんだけど」
「うん⋯」
「まあ、だから、私はべつに雪乃の事軽蔑したりとかしないよ」
「っ」
「だから安心して」
「あさみ⋯」
「まああんたが変な男に引っかかったり、今言ったように略奪とか浮気とか不倫とかしてたら親友として何としても止めるけど軽蔑なんてしないよ。それに私は親友として絶対に雪乃の味方でいるから」
「っ」
「だからそんな思い詰めた顔しなくていいよ、大丈夫だから」
そう言いったあさみの姿は涙でボヤけてよく見えなかった。
だけど優しく微笑んでくれてるような気がしたんだ。