「なるほど⋯。⋯それは⋯ショックだよね」
「うん⋯」
あたしが話終えるとあさみは少しの時間黙り込み、絞り出すようにそう言った。
「千鶴さんに婚約者なんて⋯想像出来ないもんね」
「うん⋯」
「簡単に言える事じゃないけど、雪乃の気持ちを考えたらあたしまで辛いよ⋯」
本当に顔を歪めているあさみは続ける。
「それで雪乃は千鶴さんにその事を聞くべきか悩んでるんだよね？」
「うん。千鶴さんにちゃんと聞きたいとも思ってる。だけど聞くのが怖いって気持ちもあるの」
「うん」
「千鶴さんの口から確実な事を言われるのが怖い。それを知って一緒に居られなくなるのは嫌なの。確実な事を知らなければ千鶴さんがあたしを遠ざけない限りはそばに居られるって思っちゃって⋯、あたしの一方的な想いなのにこんな事思うのは気持ち悪いんだけど⋯、」
「そんな事ないよ。何があっても好きな人のそばに居たいって気持ちは当たり前の事だよ」
一方的過ぎる、勝手過ぎる想いも重かった。
自分で自分の気持ちが重かった。
だけど今のあさみの言葉にその重みがフッと軽くなった気がした。
