ぶつかった衝撃でグラスを手から滑らせてしまい、
ガシャンッ──────。
グラスが嫌な音を立てて割れた。
「······っ!」
音楽がガンガンかかっているから近くの人にしかこの状況を知られてはいないけれどあたしの周りの人達は割れたグラスを避けながらも視線を向ける。
「あーあ、」
「グラス割れた?」
「誰がやったの?」
そんな事はないのかもしれないけれどグラスを落としてしまったことでパニックになってしまったあたしには周りの人達の声が責めているようで怖かった。
「ごめんなさい···、」
「雪乃、大丈夫だから。ここの人呼んでくるね」
あさみが背中を優しく撫でてくれた後あたしにそう言って従業員の人を呼びに行ってくれた。
その事で少しは落ち着いたけれど、それでもこの割ってしまったグラスをどうにかしなきゃと焦る。
事実、あたしの周りは少し人が引いていて皆の迷惑になっているのは一目瞭然だからだ。



