それからは本当にいつもと変わらずに過ごし、二十二時を過ぎたあたりで千鶴さんに送ってもらうことになった。
元々賑やかな繁華街は千鶴さんがそこにいるだけで更に騒がしくなる。
周りにはたくさんの人が集まり、憧れや好意、褒めちぎる言葉ばかりが飛び交う。
千鶴さんを見て目をキラキラさせる男の人に頬を赤らめる女の人ばかりだ。
やっぱり千鶴さんはすごい人なんだなぁ⋯。
そんな彼の隣を歩くのが恥ずかしくなるのはいつもの事だけど久しぶりだからかその思いは普段より強くなり、千鶴さんから少しだけ後ろへ下がった時。
「千鶴さん」
という艶のある声が聞こえた。



