「千鶴さーん!」 「楓也さーん!」 「昴さーん!」 たくさんの女性達からの声に何も反応を示さない三人はいつもの様にフロアを歩きながら途中にある階段を登っていく。 あたしの目に映るのはソファに深く腰掛けて隣の楓也さんと何かを話す千鶴さんの横顔。 その顔が、あたしの方を向いたら─── そんな夢みたいな事を思いながら、この感情は何なんだろうと考えていた。