君ありて幸福 【完】




千鶴さんには婚約者がいる。




それはハッキリ言ってしまえば、客観的に見れば、



あたしには関係のないことだし、どうしようもないことだ。








だけど⋯、だけど⋯。





体が八つ裂きにされたみたいに、この世界に一人きりになってしまったみたいに、終わりのない暗闇にいるみたいに、深い海の底に沈んでしまったみたいに、




辛く、苦しく、悲しい。







「うぅ~⋯っ、」





悲しいよ、千鶴さん⋯。