「私は⋯、悪くないっ⋯!」
「⋯⋯は?」
「私はただあなたが好きで⋯、ただ好きなだけで⋯」
全身から真っ黒なオーラを出す千鶴さんを目の前にそう言える彼女は素直に凄いと思う。
普通怯んで何も言えなくなると思う。
だけど彼女は手を強く握り締めながら涙声でそう言った。
その姿を見て確かに彼女の想いは強いんだと思った。
狂気的な想いだけれど、純粋な想いでもあって。
彼女を許すことなんて出来ないけど、彼女のした事や想いは間違っていると思うけど、だけどやっぱり心を鬼にする事は出来なくて。
そんなあたしは甘いんだろうか。
「下らねぇ」
チッと舌打ちをした千鶴さんは不快感と嫌悪感を声と表情に顕にした。
その姿は心底下らないものを見るようで。
心底彼女を軽蔑しているようだった。



