彼女も気が済んだのかそれとも千鶴さんに婚約者、決められた人がいるという事が最大のカードだったのか、さっきまで感情のコントロールが出来ていなかったのにそのままスっと黙ってしまった。
「⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
と言っても沈黙の時間は10秒ほどで、少し離れた所から聞こえる大きな音とこっちを照らす眩しい光に何だろうかと思った時には驚きと、ザワザワとした感情に支配されていた。
だって、大きな音を響かせながら、目を細めてしまいそうな程のライトで照らしながらこっちに向かって来ているのは─────────、
「千鶴さん⋯」
彼だったから。



