君ありて幸福 【完】



「あなたも思い知ればいいわ」


「⋯⋯」


「どうやっても報われない想いを⋯やり場のない想いを⋯、頭を掻き毟りたくなるような絶望を」





彼女の言葉に下げていた視線を上げてハッとした。



彼女の瞳が潤んでいたから。



堪えた涙でその瞳の縁いっぱいに水分が溜まっていたから。