「っ、はな、して⋯!」
何とか彼女の手を離そうと試みるもその両手はガッシリとあたしの胸ぐらを掴んでいた。
「私はあんたみたいな女が一番ムカつく。努力もせずに彼の隣に居座るあんたみたいな女が!」
「っくるし、⋯」
「彼が誰にも本気にならなければまだ良かったのに⋯そうすれば彼はあたしのモノだったのに!」
そう叫ぶ彼女の理論は最早理解不能だ。
「!!!った、!」
彼女の意味のわからない理論に隙を作ってしまったのか、胸ぐらをやっと離してもらえたと思った時には今度は壮絶な痛みを感じた。
「い、たいっ!!!」
あろう事か彼女はあたしの髪の毛を掴んで思いっきり引っ張たのだ。
それもあたしを突き飛ばしてよろけた瞬間に掴んだものだからあたしは地面に座り込む形になり立っている彼女は髪の毛を上に引っ張りあげる形になっていた。
手首の辺りで捻られた髪の毛は彼女の手に絡みついて離れない。
もっとも、彼女は離すつもりなんて毛頭ないんだろう。
現に物凄い力で髪の毛を引っ張りあげているのだから。



