君ありて幸福 【完】

「私は彼が好きなの。高校に入学してから三年間ずっと⋯いや、会社のパーティーとかでもっと前から知ってたからそれ以前からずっとずっと好きなの」

「⋯⋯」

「わかってるわ。彼が私とは結ばれないってことくらい。それに彼は女性に対して拘りがないってことも知ってる」

「⋯⋯」

「Trustに出入りしていた時もあるからソファー席がどんな所かも、一階のソファー席に居る女達のことも知ってる。私自身一階のソファー席に座れるように頑張ったこともあったし彼の彼女になれるように色々頑張ったこともある。まあそれは失敗して出入り禁止になった訳だたけどね」




自分から話を始めた彼女。
つまり隠れたりしながらストーカー行為をしていたけれど彼女自身もあたしに言いたいことがあるということか。

⋯正直良い予感なんて微塵もしないけれど決着をつける為にも彼女と話をしないといけないとは思っていたからそれは好都合だ。


だけどTrustを出入り禁止になったというワードは彼女が危険人物だということを物語っている。







あさみも言っていた。



ソファー席にいる女の人達は馬鹿じゃないと。
なりふり構わず攻撃するなんてことはしないと。

だけど彼女は違う。



自惚れる訳じゃないけどもし、彼女があたしと千鶴さんの関係に何か嫉妬のようなものを感じたなら。

あたしを憎いと思ったなら───────。






明らかに敵意を向けて、それを行動に移した。




彼女のようなタイプが一番恐ろしいんだ。