「ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつくっ⋯!」

「⋯⋯⋯」

「何でこんな地味な女がっ、」

「⋯⋯⋯」

「何で千鶴さんはこんな女をっ、」

「⋯⋯⋯」

「何で私じゃなくてこんな女が彼の近くに居られるのよ!」


そう叫んだ彼女の瞳は憎悪や嫌悪、とにかく憎しみだらけだった。

そんな彼女は少しでも言葉を間違えれば今にも襲いかかってきそうで出来るだけ刺激を与えないように話す。






「⋯あなたは千、⋯⋯彼の何なの?」

「同級生よ。この制服を見て分かるでしょう?」

「同級生のあなたが何故あたしを、」

「私は千鶴さんが好きよ」




「つけたりするの?」その言葉は声になる前に彼女が放った言葉に遮られた。


隠すことも、躊躇うことも恥ずかしがることもなく笑みすら浮かべてそう言った彼女は真っ直ぐにあたしを捉えていた。






「愛してるわ」



うっとりとした様にそう言った彼女。

その表情はどこか遠くを見ているようで⋯言ってみれば現実ではなく妄想の世界を眺めているようで⋯怖かった。



誰かが誰かを好きだと、愛していると思うことは変なことではない。

人間なら誰しもそういう感情を感じたことがあると思う。


だけど彼女のそれは⋯

彼女のその感情には、恐怖を感じた。





「愛している」


そう言い切った彼女のことを怖いと思った。