コツ、コツ、コツ、コツ──────。
人通りの少ない道に差し掛かって少しすると後ろから不気味な足音が聞こえてきた。
コツ、コツ、コツ、⋯⋯⋯⋯⋯。
それはあたしが進めば同じように進み、止まれば同じように止まった。
来た。
恐怖とここで決着をつけてやるという気持ちが入り交じる中、ぎゅっと手を握り締める。
怖い。けど、あさみの心配そうな表情や千鶴さんの電話を思い出せばもう後戻りするなんて選択肢はない。
コツ、コツ、コツ。
あたしの動きに合わせて足音が止んだことを確認してからゆっくりと後ろを振り返った。