「雪乃最近Trust行かないね」




お昼休み、購買で買ったメロンパンを頬張りながらそう言ったあさみに最近のことを思い返した。






最近のあたしは、あさみの言う通りTrustに行っていない。

理由はもちろん不審な人物の気配を感じているからだ。

この二週間の間も時々後をつけられたり、視線を感じたりした。



皆に迷惑を掛ける訳にはいかないし、危険に晒す訳にもいかない。


もちろん放課後も色々と理由を作ってあさみと帰ってはいない。


一緒にいる時に何かに巻き込む訳にもいかないし⋯、だからと言って誰が何の目的であたしなんかの後をつけたりしてるのかはわからないけど⋯。






「昨日Trust行ったんだけどさ、千鶴さん心配してたよ?」

「えっ」



あさみの言葉に強く反応してしまったのも無理はない。千鶴さんと出会ってから二週間も会わなかったことなんてないんだから。

たった、ほんの、二週間かもしれない。

だけどTrustに行かない、千鶴さんに会っていないこの二週間はあたしにとって果てしなく長かった。


退屈な日々だった。千鶴さんに会いたくて仕方ない、恋しい日々だった。