「寒くないか?」

「大丈夫ですよ」


外に出て気にかけてくれた千鶴さんに微笑む。




この時、当たり前のように千鶴さんが駅の方向へ向かってくれることに何とも言えない喜びを覚える。

送ってもらうことが当たり前だとは思わないけど何も言わずに、当たり前のように送ろうとしてくれている千鶴さんに、それだけの時間を過ごしてきたのかとしみじみ思う。


まだ千鶴さんを知って数ヶ月でしょ?と言われたらそれまでだけど、あたしにとってはこの数ヶ月はとても濃く、ほんの少しだとしても千鶴さんを知ることが出来た数ヶ月だから。
ほんの少しだとしても千鶴さんに近づけたと思えることがあった数ヶ月だから。








キラキラ輝くネオンと、ガヤガヤ騒がしい建物と人で溢れる繁華街を抜けて最寄り駅行きの電車に乗り込めばあっという間に駅に到着してしまった。