十分でお店につくとカンジイが優しい笑顔で迎えてくれた。



「いらっしゃい、今日もグラタンでいいのかい？」

「はい、今日もグラタンお願いします」

「千鶴は何にする」

「ナポリタン」

「はいよ、少し待ってな」


カンジイは素早くオーダーを取ると厨房の方へと行ってしまった。




「グラタン好きだな」


注文したものが運ばれてくる間、千鶴さんにそう言われた。


「カンジイのグラタンすごく美味しいんですもん」

「この前もグラタン食ってたよな」

「はい！」



そう、お気に入りのメニューとはグラタンのことで、カリッと焼けた表面に中は程よくトロトロしていて多めのマカロニが特に好きなところ。



「あたしカンジイのお料理が世界で一番美味しいと本気で思います」

「んなわけねぇだろ」

「え～、そんなことありますよ！」

「買い被りすぎ」


そんな会話をしていると⋯、



「そんなこと言う人には食わせないぞ」



美味しそうな香りをさせながら、熱々であろう、湯気を出すグラタンとナポリタンを持ったカンジイが千鶴さんのことを睨んでいた。