「大丈夫ですよ、外に出た瞬間ブルっとしただけですし、カンジイのお店もすぐですから」 「⋯本当か?」 「はい、大丈夫です」 「そうか。でも寒かったら言えよ」 「はい」 こうやって気にかけてもらえることは嬉しいけどあたしだって千鶴さんに風邪を引かせるわけにはいかないし、上着を借りなければならない程寒い訳でもない。 だけど少しだけ、借りておけば良かった。 惜しいことしたかなぁ⋯。 なんて思ってしまったあたしは欲深いのかもしれない。