君ありて幸福 【完】


「いらっしゃい、雪乃ちゃん」


Trustに入るとカウンターにいた梓さんがすぐに声をかけてくれた。



「こんばんは」

「今日はフルーツジュースする?」

「そうします」

「ならすぐに持っていくね」


そう言いながらさっそくフルーツをカットしてミキサーに入れていく梓さんにお礼を言って二階のソファ席へと続く階段へと向かう。





その途中、一階のソファー席に座っている女の人達と目が合った。


その視線は鋭くとても良いものではいけれど今朝の視線に比べたら全然マシなものだ。

言葉で表現するのは難しいけれど今向けられている視線にもあからさまな敵対心やそれに似たものは含まれている。



だけど今朝の視線は─────



あれは憎悪、とでも言うべきか。背筋が凍るような感覚になるほど激しいものを感じた。



内に秘めている負の感情全てをあたしに、ずっと、向け続けているようなそんな感じだった。