君ありて幸福 【完】


それからあっという間に放課後になり、




「じゃあまた明日ね」

「うん、青木くんと楽しんで」

「雪乃の方こそ」



そんな軽口を叩きながら校門であさみと別れ、家の方へと歩いていく。



それまですっかり頭の隅に追いやっていたものの、こうして一人になると思い起こされる恐怖。



またつけられたら⋯?また視線を感じたら⋯?



まだ実際に人影をみたとか、被害にあったとかはないけどやっぱり一人は怖い。


どうか勘違いであってほしいけど⋯。


そうじゃなかったら⋯。




早く帰ろう。


出来るだけ周りを警戒しながらそそくさと家へと急いだ。