「うん、あのね、先生に提出する課題やるの忘れてて、早く学校に行って授業が始まるまでに終わらせようかなって思って急いで来たの」
「課題?忘れたの?」
「うん、ほら、数学の課題。この間出たでしょ?」
「あー、あれね。まだ提出してなかったの?」
「うん、すっかり忘れちゃってて⋯」
「雪乃が?珍しい」
本当は課題はとっくに終わらせて提出してあるし、我ながら苦しい誤魔化しだとも思ったけど他に思いつかない。
あさみが信じてくれるかは一か八かだったけれど⋯。
「そっか。でもあんな呼吸乱すほど急がなくても」
もちろん心配かけたくないとは言え、嘘をついてしまった事には心が痛んだけど納得した様子で笑うあさみにホッとした。



