これは──────後をつけられてる。
「⋯⋯っ」
そう認識した瞬間言い知れぬ恐怖が襲い、その場から足が動かなくなってしまった。
もちろん後ろの足音も聞こえなくなる。
どうしよう、怖い。怖い、怖い、怖い、怖い!
閑静な高級住宅街で夜遅いということもあり人通りもない。
⋯っ、どうしよう⋯。
後ろを振り返って後をてけている人物を暴くべきか。
でもそれって危なくない?
だけどもしかしたらあたしの単なる勘違いかもしれないし、誰も居なければ居ないで安心出来る。
ゴクリと唾を飲み込み強く拳を握りしめた。
⋯⋯っ、よし。
きっと何もない。誰も居ない。あたしの勘違い。
「っだれっ?」
勢いよく後ろを振り返った。