今伝えられる全てを伝えたあたしの瞳には何故だかうっすらと涙が浮かんでいた。

悲しくなんてないのに。



「千鶴さん⋯」


シャツを掴む手に力が入る。


そんなあたしの髪の毛をクシャッと撫でた千鶴さんは目尻に溜まった涙を親指で拭ってくれた。





「俺も楽しかった」




その言葉を聞けて笑顔になったのは言うまでもなく、



「じゃーな」

「っま、また⋯！」

「またな」



“また”という約束に心が温かくなった。