君ありて幸福 【完】



「だから青い海を見てすぐその会話を思い出したんです。目的地は海。青い。つまり、会話ってヒントはあの時の会話のことを言ってたんじゃないのかなって。海→青→青空→会話って感じで。今日天気もすごく良かったですし」

「⋯⋯」

「違いましたか?」


そう聞きながらも確信を持って千鶴さんを見る。




「あたり」

「っ!やっぱり!」


小さくガッツポーズをしながら、緩む顔。
当たったことが嬉しいんじゃない、あの時の会話を千鶴さんが覚えていたこと、それをわかりやすい様な、わかりづらい様なヒントにしたことが愛しくて嬉しいんだ。



「ふふっ」


自然と笑顔が零れる。

そうしているうちにマンションに着いてしまった。

こういう時、時間が過ぎるのは早いと思う。
もっともっと一緒にいたいと思う。


でもそういう訳にはいかないんだ。