「⋯へへ、」
千鶴さんの瞳があたしの方を向いたのに気づいた。
だけどさっきの言葉は無意識に出たものだし、それに何より好きな人である千鶴さんに聞かれてしまったという恥ずかしさに下手な作り笑いで誤魔化してみるものの気まずい。
尤もあたしの気持ちを知らず、ましてやあたしのことなんて何とも思ってない千鶴さんからしたら気まずくも何ともないのかもしれないけどさ⋯。
「⋯⋯⋯、」
だけどそれでもやっぱり気まずくて、肩を窄めた。
それから数秒の沈黙の後、言葉を発したのは千鶴さんの方だった。
「好きな奴、いんのか」



