君ありて幸福 【完】


「濡れちゃまいました」

「馬鹿」

「ははは⋯」


濡れてしまった為、千鶴さんの所へ戻りバッグからハンドタオルを取り出す。

ハンドタオルで濡れた足を拭く。



「服は濡らしてないか?」

「服は無事でした」

「まだ寒くはないけどあんま濡れると風邪引くぞ」

「ですよね」

「もうここ座ってろよ」

「はい」


そう注意され千鶴さんの隣に腰を下ろした。


近い、だけど近すぎるわけでもない微妙な距離にドキドキする。

肩がつきそうでつかない、そんなもどかしくも心地いい距離。



「綺麗ですね」

「ああ」


さっきよりももっと、オレンジが濃くなった。