君ありて幸福 【完】


冷たいけど気持ちいい⋯。


透き通った海の水は白い波を打ちながら、その波に従ってあたしの手を隠したり見せたりを繰り返す。


数分間手で水を遊んでいると、




サザ────ッ。




一際大きな波が立ち、慌てて後ずさった甲斐も虚しくあたしの足首までがビッショリ濡れてしまった。



「ああ⋯」


サンダルだったから靴の時のような気持ち悪さはないけれど濡れるつもりはなかったからショックだ。


さっき千鶴さんにも濡らすなよと言われたばかりだったのに⋯。