君ありて幸福 【完】



結局目的地はわからないままで、


「次降りるぞ」


そう言われて降りた駅はあたしの最寄り駅から十二駅も離れた降りたことのない駅だった。




「この駅って海が近いですよね」

「ああ」

駅を出ると僅かに潮の香りがした。


「海に連れてきてくれたんですか?」

「ああ」

「海ってあんまり行ったことないです」


海と聞いてテンションが上がる。

だけど目的の場所が海だったなら千鶴さんのあのヒントは何だったんだろう⋯。



「丁度昼だしどっか入るか」

「そうですね」



結局この時はまだその答えを出すことは出来なかった。