君ありて幸福 【完】

マンションから駅まで二人で歩き、今は電車に揺られていた。

方面は隣町だけど詳しい行き先を聞いていなかったことに今更気がつく。




「そう言えば目的地はどこなんですか?」

「内緒」

「えー⋯、内緒、ですか?」

「まあどうせすぐわかるけどな」

「なら今教えてくれても、」

「ならヒントは会話」

「会話?」


そう言われても思い当たる場所はない。



「全然わかんないです」



千鶴さんとどこかの場所や土地の話なんてしたことないし⋯。



「うーん⋯」



考えても考えてもわからなくて、一人悶々と考えるあたしを千鶴さんは面白そうに見ていた。