「俺が言い忘れてただけだ、謝るな」
「でも⋯、ごめんなさい⋯、今から着替えて⋯、」
「いい」
「⋯っ」
滑稽だった。
調子に乗ってワンピースなんて買わなければよかった。
ワンピースなんて来てこなければよかった。
さっそくしてしまった大失敗、大失態。
情けなくて恥ずかしくて、真っ白な真新しいワンピースを見つめた。
「んな落ち込むなよ」
そんなあたしの耳に聞こえてきたのは苦笑い気味の千鶴さんの声。
「千鶴さん⋯」
「俺が言い忘れてたのが悪いし。今日行く所は電車でも行けるから」
「でも⋯、」
「前はあんなに怖がってたのに」
「⋯!」
「そんなに乗りてぇならまた今度乗せてやる」
「千鶴さん、」
「だからそんな顔するなよ」
そう言いながら頭に乗せられた千鶴さんの大きな手。
千鶴さんの優しさがそこから伝わってくる。
そう言えば前はバイクに乗るのがすごく怖くて嫌だったのに今は恐怖よりも千鶴さんのバイクに乗せてもらいたいと思ってるなんて不思議。
ありきたりな言葉だけど日に日に千鶴さんへの思いが増していくようだ。
「つーかバイクここ停めていい?」
「あっ、大丈夫です」
「ならここ停めさせてもらうな」
千鶴さんがマンションの駐車場にバイクを止め、あたしの方へと戻って来る。



