「今日はバイクで目的の場所まで行こうと思ってただけだ」
一瞬、何をそんなに誤魔化そうとしてたのか。続きを教えてくれなかったのか全くわからなかった。
明らかに意味を理解していないと千鶴さんも思ったのだろう、物凄く気まずそうにしながら
「それワンピースだろ」
あたしの着ているワンピースを指さしたその瞬間、あたしは固まった。
⋯千鶴さんが言葉を止めた理由がわかった。
バイクで出掛けようとしてた千鶴さん。
あたしの今日の服装は裾がふんわりした膝丈のワンピース。
それでバイクに乗ればきっと裾は捲れる。
それだけじゃなく、思わぬ事故に繋がってしまう。
スカートのあたしがバイクに乗ることは出来ない。
確かに思い返してみれば前に千鶴さんがバイクに乗るか聞いてくれた時はパンツスタイルだった。
「ごめんなさい⋯」
千鶴さんは気を使ってくれたのに、ここまで言われないと気づかないあたし。
自分の馬鹿さ加減に呆れた。



