「出掛ける話だけど、」


昴さんの方からあたしの隣に座り直した千鶴さんはその長過ぎる足を組みながらそう切り出した。



「今週の日曜どうだ?」

「あ、はい!大丈夫です」

「なら日曜十時、雪乃ん家迎え行く」

「家にですか!?」

「⋯?ああ」


遂に詳しい約束まできて、それだけでも舞い上がっているというのに家にまで来てくれるなんて⋯なんというか、嬉しいやら申し訳ないやら緊張するやら、頭の中がごちゃごちゃになる。



「家はあの、千鶴さんに申し訳ないというか⋯、迎えに来てくれるのはすごく有難いんですけど、あの⋯」

「迷惑か?」

「えっ?」

「家まで来られるのが嫌ならどっか待ち合わせするか」


そう言って考える素振りを見せる千鶴さんに慌てて弁解する。


「迷惑とかじゃないです!」

「ならそれで良いだろ。俺もその方が楽」

「そうですか⋯?」

「ああ」


申し訳ないとか言いつつ本当はすごく嬉しかった。

待ち合わせもきっとドキドキして良いんだろうけど迎えに来てくれるなんてまるで⋯その、デートみたいで。本当はすごくすごく嬉しかった。



「十時に行く」

「よろしくお願いします」

「ああ」



ああ、遂に日曜日に千鶴さんと出掛けることが出来るんだと思ったら今からすごく緊張してきた。

ドキドキドキドキ、息苦しいくらい。

だけどそれと同じくらい、いや。それ以上に楽しみでもある。



「日曜日、楽しみにしてます」


笑顔でそう言ったあたしに千鶴さんも優しい笑みを見せてくれた。






約束の日まで後三日───────。