今、あたしの見上げている空を千鶴さんも今、見上げている。
同じ気持ちを共有出来ている。
なんて嬉しいんだろう。
「千鶴さん」
「ん?」
「なんでもないです」
「は?」
クスクス笑うあたしに千鶴さんも笑ってるのか声が僅かに震えているような気がした。
ううん、絶対、笑ってる。
電話だから顔は見えないけど何故かそう断言出来る。
電話をする前はすごく緊張した。
繋がってからはいつもとは少し違う千鶴さんの声にドキドキした。
でも今は緊張もしてるけど、すごく楽しい。
耳のすぐ近くで聞こえる千鶴さんの声にすごく恥ずかしくなるけど、電話だからこそ声の少しの変化にも気づける。
表情は見えなくても千鶴さんが笑ってるんだってわかってすごく幸せ。
「それじゃあもうすぐ休み時間終わちゃっうんで切りますね」
「ああ」
「千鶴さんもこれから授業ですよね?」
「そうだけどサボる」
「え!?ダメですよサボっちゃ」
「いーんだよ、ゆーとーせーだし俺」
「えぇ⋯」
冗談ぽく言う千鶴さんだけど冗談だと言い切れないのが千鶴さんだ。
「優等生なら尚更サボったらダメです!」
だけどサボりを容認するわけにはいかず、そう強く言うと千鶴さんは「わかったよ」と言ってくれた。
それに満足していると
「つーか時間平気?雪乃こそ授業に遅れるんじゃねぇの」
と指摘されて時計を見れば授業開始一分前だった。
「っ!全然平気じゃないです!切りますね!すみません!」
慌ててそう言えば「騒がしい奴」と聞こえた気がしたけれどもう通話は終わっていた。
最後慌ただしくなったゃった⋯。
でも、電話して良かった。
そんな事を思った初めての電話だった。



