君ありて幸福 【完】


それから一時間くらい経ってクラブの雰囲気にも段々と慣れてきた。


初めはクラブっていうとあたしにはハードルが高いと思っていたしこの賑やか過ぎる雰囲気にも戸惑ったけど、カウンターにいる店員の方も優しいし皆が自由にこの場を楽しんでいるから最初こそ緊張してたけど、あたしも自然体でいる事が出来てきた。




「踊りに行く?」

フロアで踊る人達の方をネイルの施された指で指すあさみに首を横に振る。


「ここで見てる」

慣れてきたといっても踊ったりあの輪の中に入るのはまだまだ躊躇してしまう。

それに、自分が踊るよりもここに座って皆が踊ってるのを見てた方が楽しいし。




「あさみは踊ってきてもいいよ?」

あさみが普段も踊ってるのかは知らないけどあたしがいるから踊らないなんて申し訳ない。


「私も今日はいいや」

「本当に?あたしのことは気にしないでね?」

「本当に今日はいい。雪乃と話したいし。変なやつに絡まれたりしたら心配だし」

「変なやつって···そんな人いるの?」

「ナンパとかね。まあ私がずっとガン飛ばしてるから話しかけてはこないけどさっきからこっち見てる人結構いるよ?」

「えっ···」

「気づかなかった?」

「全然···」

「雪乃ってそういうところあるよ。心配でしょうがないんだけど」