最寄り駅で下りたあたし達は家までの道を並んで歩く。
ふいに千鶴さんがあたしと一緒にいることが不思議に感じた。
どう考えたって住む世界の違う人なのに、今隣にいる。
送ってなんかもらっちゃってる。
不思議で、だけど嬉しくて。
「あ⋯、」
そんなことを思いながら見上げた夜空。
そこに煌めく星たちは見えなかった。
「どうした?」
「星、見えないなって⋯」
「星?」
あたしの声に千鶴さんも夜空を見上げた。
こういう時って煌めく星が空一面に広がってたりするものじゃないの?なんて思い、少しだけ残念な気持ちになる。
「こんな都会じゃ見える方が珍しいですよね」
尤も、都会で一面に広がる星空が見えるなんて無理に等しいのだけど。
「星、好きなのか?」
「え⋯」
残念だななんて思っていると千鶴さんがその綺麗な瞳をあたしへ向けた。
「⋯特別好きって訳でもないですけど⋯でも、ふと見上げた空に星が輝いてたら綺麗だなって思いますし、一面の星空って一度は見てみたいなとは思います」
「そうか」
「はい。千鶴さんはどうですか?星とか、綺麗だなって思いますか?」
「俺は───あんま興味ない。綺麗とか別に思わねぇし」
「そうなんですか?」
「ああ」
千鶴さんの話を聞きながら、きっとどんなに綺麗な星空でもそこに千鶴さんが居たらあたしは千鶴さんしか目に入らないだろうなと、どんなに星が煌めいていても千鶴さんには適わないだろうなと、そんなロマンチックで妄想的なことを考えていた。



