君ありて幸福 【完】



その後ナポリタンを完食したあたしがお代を払おうとすると千鶴さんに断られて、あたしが払う俺が払うを数回繰り返した後、結局は千鶴さんに押し切られて奢ってもらうことになった。




「千鶴さん、ご馳走様でした。ありがとうございます」



「雪乃ちゃんと言ったかね。またいつでもおいで」



寛治さんが笑顔でそう言ってくれて嬉しくなる。



「寛治さん⋯!はい!今日は本当に美味しいお料理ご馳走様でした。ありがとうございました」


「ああ、それと俺のことはカンジイでいいよ」


「え⋯」


「そう呼んでくれると嬉しい」


にこりと笑った寛治さん、カンジイは「また来てね」とあたしの肩を叩いた。


そんなカンジイに強く頷くと

「そろそろ出る」

と千鶴さんがお店のドアを潜る。


「今日は本当にありがとうございました」


カンジイにもう一度お礼を言ってあたしもお店を出た。