「カンジイも喜んでただろ。俺だって謝れなんて思ってない」
「千鶴さん⋯」
「変な奴だとは思うけど、面白いし」
「⋯っ」
面白いって喜んでいいのかそうじゃないのかわからないけど、だけど僅かに上がった口角に安心した。
「こんなに素敵な寛治さんと場所とお料理に出会わせてくれてありがとうございます」
「⋯変な奴」
その後も寛治さんの作ったナポリタンを美味しい美味しいと言って食べるあたしを見て千鶴さんは何度も微笑んでいて、こんなに千鶴さんの笑った顔を見たのは初めてだなと、照れくさいような嬉しいような不思議な気持ちになった。



