「という訳でごめんね雪乃。今日行けなくなっちゃった」


一歩後ろに居たあたしにそう謝るあさみに笑顔を作る。



「気にしないで。でもどうしようかな、あたしも今日は行くのやめようかな」



あさみが居ないのに一人で行くにはまだ勇気が出ないし。

そう思ってそう言ったんだけどあさみは「何で?」と首を傾げる。





「行ってきなよ!今日行くって言ってたじゃん」

「でも一人だし、まだ一人は怖いし」

「千鶴さん達居るじゃん」

「だからっていつもみたいに二階席に行っていいかわかんないでしょ?」

「絶対大丈夫だって!それに梓さんも居るし」

「それはそうだけど、」

「まあ行く行かないは雪乃の自由だけどさ、何か今日は行く?って聞いた時即答だったから⋯」

「うん⋯」

「行きたいんじゃないの?」



行きたいかと聞かれれば行きたい。

だけどクラブにも慣れてきたとはいえ、一人でクラブなんてまだまだあたしにはハードルが高い。





「あのー、すみません。お友達との方が先約だったらそっちを優先してください」



どうしようかと悩んでいると青木くんの声が聞こえてそっちを見ればわかりやすくヘコむ青木くんがいた。




「うん。そうだね。青木、あんたとの約束はまた今度」

「はい⋯」

「じゃーね」



「⋯⋯」

しょんぼりしながらあさみに軽く手を振る青木くんを見てすごく申し訳なくなった。