「あ、あさみ?」


あさみに滅多打ちにされてヘコむ青木くんは本当に落ち込んでいて思わずあさみに今の言い方はないんじゃないの?と言おうとしたけれど、



「な、なら!」


青木くんが顔を上げてもう一度あさみのことを真っ直ぐ見つめた。




「なら、俺を必ず好きにさせてみせます!」

「は?」

「だから、チャンスを下さい!友達からでもいいです!お願いします」

「いや、何であたしがタイプじゃないって言ってる人にチャンスをあげないといけないのよ」

「お願いします!本気なんです、本気で山部さんが好きなんです!」

「あのね、」

「必ず、必ず好きにさせてみせますから!お願いします!なんなら今日この後デートしましょう!」

「あんたねえ、」

「俺のこと知ってから答えを出して下さい!」

「⋯、」

「お願いします!」



あさみの言葉すら遮って必死に懇願する青木くんは少し強引かもしれない。

だけど、その必死さのおかげか、強引さのおかげか、想いの強さのおかげか。




「そこまで言うなら一回デートしてあげる」



あさみは髪の毛をクルクルさせながらそう言った。