「山部さん!」



放課後、家までの道のりをあさみと歩いてると突然、電柱の影から男の人が出てきてあたし達の前に立ち塞がった。



「あんた誰?」


山部さん、つまり名前を呼ばれた山部あさみはいきなり目の前に出てきた制服姿の男の人に怪訝な目を向ける。



「俺、北高二年の青木陸って言います!」

「⋯で?」

「あ、⋯っえっと、あの⋯」

「え、なに?」


いきなり言葉を詰まらせて顔を赤くする青木くんを前にあさみは困惑気味だ。


「えっと、いきなりすみません、待ち伏せみたいなことしてっ、⋯でも、あの、えっと、」

「は?何なのあんた?怖いんだけど」

「すみません⋯」



はっきり言うあさみにシュンとする青木くん。


ああ、何だかわかってしまったような気がする。




「用があるならはっきり言ってくんない?友達待たせてるの」


そう言いながら視線をあたしへと向けるあさみに首を振る。

だけど青木くんは焦ったのか結構な早口で、





「山部あさみさん!登校中に見かけるあなたに恋しましたっ!⋯つ、付き合ってください!」



顔を真っ赤にしながらそう告げた。