「あれ?雪乃ちゃん今日一人?あさみちゃんは?」
いつものようにTrustへ来たあたしを二階席へと案内してくれた楓也さんは一人でTrustへと足を運んだあたしを見て不思議そうに言った。
「あさみは今日はこれなくて⋯あたし一人です」
「そうなんだ?珍しいね」
「すみません⋯」
「何で謝るの?どうぞ座って」
楓也さんはそう言ってくれたけれどあたしはどこに座れば良いのか迷う。
千鶴さんが何か言ってくれないと⋯、
初めてTrustに一人で足を運んだ緊張と、女の人と居るところを見て以来の千鶴さんにドキドキと速まる鼓動。
「あの、どこに座れば⋯、」
「ここだろ」
「っ⋯わ、」
挙動不審に視線をキョロキョロとさせるあたしの腕を軽く引っ張った千鶴さんはストンと、あたしを隣へと座らせた。
触れた手から熱が伝わって、意味がわからないくらいドキドキする。
あさみが居ないから頼れる人がいなくて。あさみのせいでこんなにドキドキする。
そう意味わからないことを思うほど、あたしは一人で来たことに、あの日以来の千鶴さんに、ドキドキしていた。