「雪乃ちゃん、引いた?」
悲しそうな顔をして気まずそうに楓也さんが言うから慌てて首を横に振った。
「引いてないです。楓也さんは楓也さんですから⋯」
「そっか。ありがとう雪乃ちゃんに嫌われたらどうしようかと思った」
相変わらず爽やかに笑う楓也さんにあたしも微笑んだ。
正直暴走族とかチームとか良いイメージはないし、喧嘩だってどうしてそんなに本気でするの?って。
相手も自分も痛いだけなのにって思うけど。
それでも怖いとは思わない。
今の楓也さんと昴さんを知っているから。
怖いなんて思えない。
この日あたしは千鶴さん、楓也さん、昴さんのことをほんの少しだけ、ほんの少しだけ、知れたような気がした。



